2008年6月21日 (56日目) オムスク、ターニャ宅


朝は8時くらいに起きたのだろうか。ターニャは寝ていたので静かにしていて、ターニャが9時くらいに起きてから、簡単な朝食を済ませる。ターニャは息子と出かけてしまった。俺は、ターニャの友人が俺の事を正午に迎えに来てくれて、オムスクの街を案内して貰う事になった。昨日、銀行にトラベラーズチェックを両替する時間はあったが、忘れてしまっていたので、今日はその両替と、ケメロボでウラジミールから貰った絵葉書をアメリカに住む知人に送りたかった。

でも、正午を過ぎても誰も来ない。耐え切れずにターニャに午後2時過ぎに電話すると、予定していた友人が都合悪くなってしまったと言う。でも、3時位にはターニャが戻って来てくれて、約束していた人の代わりに案内役を買って出てくれた男の人も一緒だった。ターニャの息子のアンチョンは一緒では無かった。ターニャとその友人と3人でバスに乗り、俺とその男の人は途中でバスを降りた。以前に他の町で両替をしたことのある銀行が直ぐに見つかる。英語に訳したらSaving Bank Russia という銀行だった。200ドル分のトレベラーズチェックをルーブルに両替した。手数料は以前と同じように2% だった。1ドルは23.6 ルーブルになった。両替の後は、オムスクの中心地を歩いた。その男の人は今まで会ってきたロシア人にしては物静かな人だった。


街の中を随分と歩いてオムスクの中央郵便局に行く。交差点の角の立つ郵便局は一際大きな建物で、その交差点には地下道があった。それはまるで日本の駅の地下道のようで、通路には小さな店が並んでいた。中古の携帯電話を売る店や、本やCDROMを売る店が見えた。郵便局の中の窓口は20くらいあったが、土曜日だったので働く職員は二人しか見えなかった。そこではケメロボの絵葉書をグレンドーラに住む小山さんに送る必要があった。しかし、郵便局の職員は、絵葉書だけでは送れないと言う。街中では絵葉書を売ってないので、モスクワやサンクトペテルブルグのような観光地でないと、絵葉書は送れないのかも知れない。仕方ないので言われるようにAir Mail 用の切手代が印刷された封筒を24ルーブルで買って、その中に絵葉書を入れた。本当は絵葉書に消印を押して欲しかったが仕方ない。宛先の小山さんには餞別を頂いていて、もし機会があれば絵葉書を送って欲しいとの事だった。旅行会社を営む小山さんは、大の旅行好き。俺も旅先からの絵葉書を受け取るのはとても嬉しかったので、早く送らなければと思っていたが、毎日自転車に乗って走るのが精一杯で、郵便局を探す余裕は今まで無かった。こうしてターニャの友人に郵便局に一緒に来て貰って、やっと投函できる。ロシアに入って2ヶ月近く過ぎてしまっているが、ケメロボまで絵葉書を見つけられなかったので仕方ない。

郵便局に入る前、一緒の男の人にターニャから電話があった。ターニャは近くにいるらしく郵便局を出た後、大きな綺麗な教会の前で待ち合わることになる。暫くするとターニャは息子のアンションを連れて歩いて現れた。4人で一緒に歩いて、川岸では遊覧船が行き交うのを見た。近くにアイスクリームを売る出店があったので、4人分のアイスクリームを買った。アンチョンはとても喜んでくれた。行き交う人に加え、広場では民族ダンスを披露していた。オムスクは都会であり観光地だった。閉鎖都市と聞いていたが、インツーリストのホテルも見た。案内をしてくれた男の人とは川岸で別れ、3人で家に戻る。アンチョンは5歳くらいで、英語は分からない。でも、東洋人の俺にとても興味があったようで、人懐こかったので手を取ってゆっくりと歩いた。それを見たターニャは笑ってくれた。


バスに乗ってターニャの家に戻ると、既にターニャの友人が来ていて、ナターシャとターニャと俺は近くのスーパーマーケットに買出しに出ることになった。何人が今晩の夏の新年会に来るのか分からなかったが、沢山の買い物をした。俺は230ルーブルを支払った。ナターシャとターニャも同じ位の金額を払ったのだと思う。スーパーの外の道端では果物を売る出店があったので、バナナとオレンジを買った。ターニャの家に戻ると、次から次へと人が来る。これがターニャの人柄なんだと思った。そして一日中コンファレンスに行っていたプログラマのアレクセイも戻った。その後には、今日俺を案内してくれた男の人も来た。昨日のオーリャとアレクセイ夫妻、CouchSufrning のメンバーでヒッチハイクで旅行中のロシア人カップル、オムスクの街の外れで俺を車で迎えに来てくれたアーニャ等、全員が揃ったら15人になっていた。


キッチンには女性が数人、ナターシャを中心に調理を始めている。どうやら今日案内してくれた男の人はナターシャの弟のようで、その人はナターシャの手伝いを良くしていた。夕食は9時近くに全員がリビングに集まって始まる。ソファ、フロア、椅子と、皆思い思いの場所に座る。そして部屋の中央にはPCのモニターが置かれ、DVDと思われる映画が始まった。当然だがロシア語だった。


その映画は「Ирония судьбы, или С лёгким паром!」(運命の皮肉)というもので、ロシアでは25年位前から毎年大晦日の晩に繰り返し放映されているそうだ。英語の字幕があればもっと楽しめたが、とても愉快なコメディ映画だった。内容は、大晦日の晩、主人公がモスクワで友人と飲んだ後、間違ってレニングラード(今のサンクトペテルブルグ)行きの飛行機に乗せられてしまう。しかし主人公はモスクワに居るものだと思っているが、実際にはレニングラードで、モスクワの自宅の鍵を使って他人の(レニングラードの)アパートに入れてしまう。そこへ本来の住民が女性が現れ酔い潰れた主人公を追い出そうとするが、そんなところにその女性の婚約者が現れてしまう。騒動の後、女性は婚約者との仲よりも迷い込んで来た主人公に恋心を抱いてしまう、という内容だ。




ターニャはこの大晦日に毎年放映される映画を夏の新年会に上映していたのだった。昨日案内してくれたオーリャとアレクセイ夫妻は俺に一生懸命、映画を訳してくれた。映画は笑いを誘う内容の連続で、顎が痛くなるほど笑った。

食事はサラダが多く、肉料理は無かった。ターニャとその友人は俺の為に配慮してくれていた。僅かだったが皆シャンペンを分けて飲んだ。俺達が買出しした物以外の物が出てきたので、みんなが持ち寄っていたようだった。食事が終わる頃、チェラビンスクから来ていたアレクセイは電車の時間だからと帰っていった。外は明るかったが既に11時半を過ぎていて、彼の電車はオムスクの駅を午前12時過ぎに発つので足早に去っていった。

その後も映画は続き、俺がトイレに立つとその間は映画を止めてくれていた。何とも気の良い仲間なのか。そして、皆でアイスクリームを食べた。大きな器に入っていたアイスクリームを各自のスプーンを入れて食べるのだった。器に分ける等と言う面倒な事はしない。その様子はまるで子供がアイスクリームの周りに集まったようだった。気の良い仲間と食べるアイスクリームは特別に美味しかった。

しかし、僅かなシャンペンを飲んだ俺は不覚にも眠くなってしまい、映画を見ている最終に居眠りをしてしまうようになったので、別の部屋のベッドで寝る。オムスクに3泊する予定は無かったが、一泊余分に泊まって良かったと思った。今日は夏至なのに新年を祝う、愉快な人達との夕食はとても楽しく嬉しかった。

6 件のコメント:

Ari さんのコメント...

こんにちは!

オムスクを検索していてこちらに辿り着きました。

来月オムスクに行こうと思っているのですが、オムスクの治安はいかがでしたか?ロシアへ女一人旅は危ない、と両親に反対されていて、説得するため情報収集しています。オムスクの情報がとても少なくて困っています。

海外へは何度も一人旅をしているのですが、ロシアへのイメージが悪いみたいです。

かなり前の記事ですが、もし何かアドバイスをいただけると嬉しいです!

Naoto Kurihara 栗原直人 さんのコメント...

こんにちは。

オムスクが日本のどんな都市に似ているか分かりませんが、アメリカの大都会のように、特に人が集中する箇所が幾つもありますが、他はそれ程に人が集まらない場所が殆どです。ロサンゼルスやパリとかモスクワのような所だと思います。中国には行った事が無いので分かりませんが、中国の都会も同じだと思います。

オムスクに限らず基本的な事を注意したら問題ないと思います。例えば夜間の外出を控えたり、高価な装飾品を身につけず、裏道に進む際には特に注意、いつでも逃げられるような靴を履く、そして最後に一番大事なことですが、財布を捨てる覚悟で外出する事だと思います。

オムスクでお世話になったターニャを Couchsurfing.com で見つけられるかと思ったのですが、見つかりませんでした。もし現地の方の家での宿泊や、食事や散策を希望されてましたら、Couchsurfing.com で探したら宜しいのではないでしょうか。

基本的に旅は誰に会うかだと思いますので、Couchsurfing.com などは非常に良い手段だと思います。

お気を付けて楽しい旅にして下さい。

Ari さんのコメント...

お返事ありがとうございます。

逃げられる靴、ですね。わかりました!

そのほかたくさんの情報ありがとうございます。現地の方と交流できたらとても楽しそうですね。教えていただいたサイトを見てみます!



Naoto Kurihara 栗原直人 さんのコメント...

先程もう一度調べましたらターニャ(Tanya Ishmurzina)は未だcouchsurfing.com のメンバーでした。一度メンバーになってから彼女にメールしてみては如何でしょうか。きっと何かの助けになると思います。彼女よりも年上の男から見て彼女は、特別に気の優しい妹のような存在でした。大袈裟に言ったら天使のような存在でした(笑)。5ヶ月の私の旅の中で特に印象深い人で、旅の途中で逢えて良かったと思ってます。

楽しい旅にするのは自分です。良い人も居れば悪い人も必ず居ます。注意に注意を重ねて、思い出深い楽しい旅にして下さい。

Ari さんのコメント...

旅の中でそんな方に出逢えるなんて、素敵ですね!私の場合、まだまだ信頼と用心の見極めが難しいので現地の方と交流することは滅多になにのですが、アドバイスを参考にぜひオムスクに行ってみたいと思います。

couchsurfing.com に登録しました。
近いうちにターニャさんにメッセージを送ってみます!

ご丁寧にお返事いただき本当に本当にありがとうございます!

Ari さんのコメント...

こんにちは。

帰国しました。残念ながらターニャさんには会えなかったのですが、何度もメッセージをやりとりして本当に素敵な方だと思いました!

手短ですが、ご報告&お礼でした。
ありがとうございました。