2008年7月15日 (80日目)M7、747Km

泊めてもらった家を7時15分位に出る。夜は何度か目が覚めた。そして時計を見ると朝3時なのにもう明るくなりかけていた。朝食は食べずにとりあえず走った。そしてある店でパンと魚の缶詰を買って、それを近くのバス停で食べた。本当はサラダとか沢山食べたいが無いので仕方ない。ラッキーな事に雨が降らない事だけでも嬉しい。急いでいるので1時間のロスも生みたくない。


(左:泊めてくれた青年) (右:前方の4階建ての建物に泊めて貰う)

(左:泊めてもらった町を出て西へ西へ) (ウラル地方では毎日夕立だったが、晴天続き)

ひたすら走りTaska の住む町Чебоксары (チェボスカリ)の横を通った時は正午を回っていた。昨日ここまで来ようとしたが試みずに良かった。とても昨日中に来れる距離では無かった。そして彼女の住む町は標識にM7から13キロ位離れているとの事で、更に時間が掛かったはずだ。

(左:チェボクサリの中心は右へ) (右:ルクオイルのガスステーション、牛乳が無かった店の道路を挟んで反対側)

昼食の前にある村の店に行き牛乳かケフィールを飲みたかったが店には無かった。外で少しロシア人を話をすると、その夫婦は自分達の採りたての牛乳の持って行きなさいと言う。1.5リットルの結構大きなボトルだ。その夫婦の自動車には乳児が座っている。この乳児の為に農家から買ってきたのだろうか。どこからか貰ってきたものだろうか。お金を渡そうとしたが、いつものようにこの夫婦もお金を受け取るのを拒んだ。一瞬迷ったが恥じらいも無くその牛乳を頂くことにした。何と人の良いことか。とてもありがたかった。

(左:牛乳の出来事は中央の白い建物の店の前で) (右:忘れられない親切と彼らの顔)

牛乳は俺にとって限られた蛋白質源だ。体重が減り続けているのは恐らく絶対的な栄養不足。自分の顔を鏡で見ることは殆ど無いが、泊めて貰った時に鏡を見ると痩せこけた頬がそこに映った。そして恐らく鉄分不足、蛋白不足、体のバランスが狂っているのは分かっている。

昼食にはあるカフェでいつものように卵焼き、マカロニ、アップルジュース、トマトジュースなどを食べる。午後はいつものように距離が進まない。何度と無く道端の店に入りケフィールやコーラなどを飲む。そして風は強くなかったが道が途中非常に悪くなり、トラックのドライバーは何台もクラクションを鳴らして行った。こんなに道が悪いと二度とロシアをサイクリングしたくなくなる。とにかく道路の状況は悪かった。

(左:道路を振り返り、共和国が変わった事を記す看板を遠くに見る) (右:草臥れたアスファルト)

そして夕方の店ではアイスクリームを買った。バナナも買う。暫くすると別のカフェがあり、そこでSIM に課金しようかと思ったが、ロシア人で英語を話す男の人が来て、近くに宿泊できる所があるから来て見ては、と言ってくれた。自分はテントを張って寝ているのでお金は払えないと伝えると、とにかく来てみてくれとの事だった。M7の幹線から南に折れて細い道を進む。

するとリゾート地のような所が見えた。守衛がいる。その前では許可待ちの乗用車や小型トラックが列を作っている。その脇を俺は構わず進んだ。そしてさっきの男の人とどうやったら話が出来るものかと思っていると、守衛の小屋の電話が鳴る。電話を守衛は耳に当てながら俺に「イポーニャ(日本から)?」と聞く。俺はうなずいて「ダー」と答えると、それだけで守衛は門を開けて俺を通してくれた。順番待ちの自動車の運転手達は何事かと俺の事を見ている。

(左:M7 から脇道を進み看板は施設のものと思われる) (右:中央の茶色のソファに寝る)

その敷地内では皆思い思いの事をしていた。ピンポン、バドミントンなどを楽しんでいる。川では一艘のモーターボートが勢い良く川を上ったり下ったりしている。中に入るとマネージャのような人が迎えてくれたが、先ほどの男の人のようには英語が通じなかった。そしてその人は125ルーブルを支払えば泊めてくれるという。今晩の夕食と朝食も含めると良心的だったので、そのまま支払って泊めて貰うことにした。

(左:泊めて貰った部屋かのM7の橋が見えた) (右:イゴール、この施設のマネージャ?)

先ずはその人の案内で自転車を鍵の掛かる小屋に収めて、寝袋や着替えなど必要な物を持って別の建物に向う。そしてその建物の1階には食堂があって、皆食事は済んでいるようだった。どうやら青少年の為の施設のようで、保護者無しで、子供とその施設の指導者だけが居るようだった。村で見かけるような子供ではなく、裕福な家庭の子息といった趣だった。

夕食は皆済んでしまっているので、俺は簡単なものを頂いた。シャワーを別の棟で浴びる。思ったとおりだった。施設は新しく素晴らしく整っているのに、中は煩雑だった。ゴミが落ちていたり、シャワーの栓をしっかりと締めて無いので水が滴り落ちている。裕福な子供の典型的な仕業だ。

(左:ダンサーのニコライと) (右:ニコライの彼女と女子大生のマーシャ)

暫くすると先にM7上のカフェで会った男の人、ニコライが現れる。そして俺はニコライにもう少し良い食事を期待していたと伝えると、彼自身のデザートを持って来てくれた。本当は支払う必要は無かった、と言っていた。マネージャの懐に俺の金は納まったようだ。でも、ニコライは親切で優しい人だ。その施設で何かを手伝っているようだが、ニコライはプロのダンサーだと言っていた。そしてその後で、ニコライは彼女を紹介してくれた。彼女もプロのダンサーとの事だった。それと子供の指導役と思われる大学生のマーシャと交えて英語で話す。日本語に興味があるとのことで片言の日本語も教えたりした。いつの間にか遅くなってしまったので、ソファの上に寝袋を広げて寝る。

後記: 実にインターネットとは便利なものと改めて感心する。こんな(宿泊)施設だったのだ。
http://www.surskiezori.narod.ru/

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