2008年7月13日 (78日目) カザン(ティムール宅)M7


朝は7時くらいに起きて、一緒に泊まっている研修中のアメリカ人2人が寝ている間に、インターネットでメールを読んだり、CouchSurfing のリクエストをメールで送ったりした。

昨晩、ティムールは実家に行って、朝の9時位に戻ってきた。ティムールのアパートは、キッチンの他は一部屋のだったので、アメリカ人2人と俺が寝ると他に寝る場所は無かった。アメリカ人2人が既に泊まっているので、俺を迎える必要ないのにティムールは俺を泊めてくれたのだった。自分の塒を旅人に譲ってくれたのだ。こんな事が出来る人は沢山居ないと思うが、これで二度目だ。チェラビンスクで厄介になったのはアレクセイの家だが、彼の弟マキシムの友人で、ウラル山脈の中の鉱山の町バカルに住むアリーバ。彼女は俺を一人アパートに残して夜勤に出掛けてしてしまった。アリーバ、ティムール。いつも思う事だが、俺が逆の立場だったら出来たのであろうか。

ティムールが戻ってくると、アメリカ人2人は起きて来た。朝食にティムールのキッチンにあった白米を食べる事になった。俺はビニールのような袋から米を出して鍋に入れた炊いたのだったが、本来はお湯に米を入れて温めれば出来上がる代物だった。二袋で4人分のご飯が出来て、他にゆで卵を作ったりして、簡単に朝食を済ます。

外は雨。部屋の中に乾かしている洗濯物は乾いてない。雨が上がるのを待って居たが12時を回ってしまったので、もう一泊させて貰うことにする。アメリカ人二人はティムールにカザン市内の博物館に連れて行って貰うことになったが、俺は一緒に行かなかった。その代わりに俺は、インターネットをやって、モスクワ市内の「ロシアの声」の事務所の場所を確認したり、カザンからモスクワまでの距離を確認したりした。

(左:ティムールのアパート) (右:ティムール、サラ、アレック、そして俺)

Wikipedia の情報では、M7 (ボルガ川街道、Volga Highway)をそのまま進めば800キロの距離。でも予定では来週の月曜日(8日後)にモスクワでインタビューなので、ぎりぎりの距離だ。ティムールの話では、友人がカザンから西に向って自動車で行くので、途中まで乗せていって貰ったら良いと言っていたが、そうさせて貰った方が余裕が出来て良いかもしれない。

夕方に3人が戻り、アメリカ人のサラがオムレツを作ってくれたので4人で一緒に食べる。サラはサンフランシスコに近いバークレーから来ていたのだった。もう一人のアメリカ人のアレックはミネソタからだそうだ。2人ともアメリカの大学でロシア語を勉強していて、夏の短期研修にカザンとモスクワの中間に位置するニージニーノブゴロド(Ни́жний Но́вгороに滞在しているとの事だった。

アメリカでも日本でも外国語と言ったらフランス語やドイツ語が一般的であろうに、何故ロシア語を勉強しているのか気になったが、センシティブな返答になるかも知れないと思い留まり詮索をするのは止めた。

夕食の後、ティムールはカザンの街の中でサルサの踊りの集いがあると言うのでサラとアレックと一緒に連れて行ってもらった。カザンの街の中心で、商店街の一角にレストランがあり、その脇道を仕切って若者がサルサを踊っていた。ロシアの都会で、キューバのサルサ。社会主義国として近親間があるのか。ハバロフスクでゲバラの絵を掲げたレストランを思い出す。

(左:ユリヤとその友人) (右:ティムールの彼女と彼)

暫くしてサラとアレックはニージニーノブゴロドに戻る為に帰途に着いた。俺は夕食にオムレツだけでは足りなかったので、レストランで何かを注文しようとしたが、ユリヤという英語を話す女性が他のカフェに案内してくれた。ユリヤはサルサの踊りに興味があった訳ではなく、どうやら友人に誘われて来ていたようだ。先のレストランでも食べられそうな物が無かったが、カフェでも同じだった。仕方ないのでいつものようにマカロニを主食にサラダや煮た野菜を注文した。カフェだったので安く上がった。

サルサを踊る一角に戻ると、ティムールの彼女が来ていて、彼女とは英語で日本の事などを話した。そして帰り際ティムールに、出来ればティムールの友人の自動車で少しでも西に進みたいと言うと、ティムールは俺の事をその友人に話して無いと言う。俺はティムールに昨晩、自転車を乗せて行ける様な自動車なのか聞いて欲しい、と伝えたつもりだったが、聞いてないと言う。俺が疲れていて言い忘れたのか、ティムールが酔っ払っていて忘れてしまったか。何れにしてもモスクワでのインタビューに間に合わせないといけない。こうなったら、急いで何が何でも先に進まないといけない。

文字通り、夢にまで見たモスクワは目と鼻の先だ。折角インタビューのチャンスを用意して下さったロシアの声のいちのへさんに会わないといけない。無理な距離ではない。走るしかない。只それだけ。

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