夕べは案の定、寝ている間に訪問者があった。最初は女の子二人。そして直ぐに他の男の子が二人来て、もしかしたらこの狭い小屋で酒盛りが始まるかと思ったら、ソファに寝ていたと思われた老人は後から来て、直ぐに4人を追い出してくれた。もし酒盛りが始まったら直ぐに自転車を入れてある物置に入って寝るつもりだったが、その必要は無かった。助かった。(ロシアを出る頃、この日から何十日も後に気付いたのだが、土曜日の夜は往々にしてカフェで騒ぐ若者が多かった。実はこの日の2週間前もそうだったのだ。)
食べ終えて、小屋に戻り自転車を物置から出してもらい、老人には感謝してから7時半くらいに発つ。発つ前に水を分けてもらった。小屋の隣には水を溜める大きなタンクがあり、何故かモーターを回さないと水が出てこない仕組みだった。タンクの中の水の重みで蛇口を開けば出てきそうだが、タンクが機能してないのか分からないが電気のスイッチを入れてくれて、水をボトルに入れてくれた。俺がロシア語を理解しないのが問題だが、もの静かな老人だった。
天気は快晴、風は穏やかで、昨日とは全然違った。一昨日と同じように、少しだが南風が吹いているようだった。最初の40Km は快調に飛ばす。そして比較的大きな町に入った。ニジネウジンスク(нижнеудинск)とい町で、町に入ると直ぐに道は悪くなり、タクシーの集まった所にコーヒースタンドみたいな店があり、24時間営業とサインに書いてある。中に入ってみると、大きな皿の上にピロシキが沢山盛られていて、一つは10ルーブルと安かったので、キャベツの入ったのを5つと紅茶を買い、直ぐに3つを食べる。そして店の中の様子を写真に収める。
それから川を越えるとクラスノヤルスクは右と矢印が出ていた。でも道が狭い。そして道路の状態は良くない。これをトラックが行き交うのかと思うと疑わしかった。また、殆どの自動車が左に曲がって行くので、その後を付いていくことにした。道は住宅街を進み、またバスターミナルのような所とタクシー乗り場が見えてくる。道を間違ってないか気になっていたので、止まっていたタクシーのドライバに聞いてみると、俺は道を間違えていた。やはり橋を渡ってから右に曲がらなければならなかったのだ。タクシーのドライバに教えて貰ったとおりに、道を戻り橋を右に見ながら直進する。戻らなければならない区間は短かったので大したロスでは無かった。
少し走ると道は良くなり、俺の後を少年二人が自転車に乗って付いてきたので写真を撮った。店で水を買いたかった止まってみると小さいボトルの水しかなかった。そのまま何も買わずに出てきたら、二人の少年は一人仲間が増えて3人になっていた。その3人目の少年の前輪ブレーキが効かないと言うので、前輪のバッグに入れてあるツールを出してブレーキワイヤーを引っ張って調整してあげた。すると最初の二人のうちの一人セルゲイは勝戦記念日のリボンをくれた。俺はハバロフスクでお世話になったマリーナからもそのリボンを貰ったが、ハバロフスクからチタまで電車で移動した後にそのリボンを失くしてしまった。そして今日は別の形で戻って来たようだった。
近くのガソリンスタンドで大きなボトルの水を買ってから走り出すが、その後もその3人は未だ付いて来ていた。M53の交通量が多くなり子供達と長い距離を一緒に走るのが好ましくないと思ったが、その中の一人が池に行ってみるかと聞くので付いて行った。その少年は俺に池に入ったら良いと言う。寒くはないが、池に入って泳ぐほど暑くなしし、水に入るほど余力は無い。M53に戻ってから3人の子供とは別れる。すると家族から電話があった。次男のクリスは俺が今どこにいるのかようやく気になりだしたようだ。イルクーツクとクラスノヤルクスの中間だと伝える。電話中に、ヒッチハイクしている酔っ払いが絡んできて困った。だが、それを見ていた他のヒッチハイカーが酔っ払いに注意してくれた。
その後、大きな登り坂を幾つか越える。そしてカフェが見えたが中途半端な時間であったし、次の村がそれ程多くはなさそうだったので、通り過ぎた。しかし、フェンスの中には煙突があってバーニャのような建物が見えたので戻って、聞いてみると100ルーブルでバーニャに入れると言う。バーニャに入った時に洗濯もしたいのと夕食も食べるから、フェンスの中にテントを張っても言いかと聞くと簡単にOKしてくれた。
まだ午後の4時くらいで、先に進める時間だったが、今日はここまでとした。バーニャに入って、シャワーを浴びる傍ら洗濯もした。オレンジ色のジャケットはハバロフスクを出て2週間、ノースフェースのスウェットパンツは旅行を始めて以来、グレーのスウェットパンツは2週間、それぞれ着続けていたので随分と汚れていて、きっと周りの人には臭かったに違いない。ニジネウジンスクの少年がどうして池に入ったらいいと勧めたのか、それには自分が臭かったのかも知れない。
今日はシャワーを浴びれて洗濯も出来て丁度良かった。そしてこのカフェには英語を話す中年の女性が居た。でも、バーニャから戻ると居なくなっていた。客だったのだろうか。でも、その女性の娘さんみたいな女の子は随分このカフェに馴れている感じがした。
紅茶を飲みながら日記を書いている。今日は快晴と書いたが、明日はどうなるか。今日は一昨日と同じように沢山の昆虫を見た。蜜蜂と少し大きな蜂は、自転車に乗って走っている俺に纏わり付いてきて、2回ほど周りを回ったかと思うと直ぐにどこかへ行ってしまった。蜂の他に、小さな蝿みたいな昆虫はしつこく纏わり付いて困った。でも、強い風が吹くと何処かへ行ってしまう。
未だ7時前で外は明るい。カフェの中には俺しか居なかったので、少し居づらかった。さっきの英語の人でも居れば話し相手になると思ったが、一向に現れる気配は無かった。
何人かの客がカフェに来たが、二人連れの客と少し話が出来た。東京駅で買ったロシア語の会話集の後ろに簡単な日本語とロシア語の辞書があったので、それを見ては指差して渡し、受け取ってはまた別の言葉を指して渡す。非常に効率の悪い会話だが、これしか手段が無い。
10時くらいまでカフェに居て、もう寝てもいい時間だと思いカフェを出てテントを張ることにした。カフェの主人にお礼を言ってテントを張ろうと思ったら、その主人は付いて来なさいと言う。付いていくとバーニャとは別の小屋の中を見せてくれた。
そして今日はここで寝たら言いと言う。自転車に乗っている人から金は取れないとか言っていたと思う。お金は要らないという部分しか理解できなかった。未だ明るいのでトラックの運転手とか来たらお金を取って泊められるとは思ったが遠慮なく泊めさせて貰った。ありがたいことだった。
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