昨晩は早かったが夜9時くらいから横になっていると、いつの間にか寝てしまっていた。そして外が明るいので、もう朝が来たと思っていたら段々暗くなって、まだ夜が明けてないことに気付く。気温もまだ暖かかった。
朝まで何度か目が覚めたが、起きたのは8時くらいだったと思う。そして片付けて、走り始めたのは9時だった。しかし、その後で小雨が降ってきたかと思った途端に、小雪に変わった。そして30分位走ると、M55は村への道と分かれていたのでそれを進む。小さな村に入って、これまた小さなお店を見つけ、缶詰の桃、瓶詰めのきゅうりの酢漬け、そしてライターを買った。
(左下:土の盛り上がった所には1メートルくらいの窪みがあり、その中にテントを張る)
(右上:職員室も思われる部屋で雪の止むのを待つ)
お店の隣の廃墟となっていた建物の中で雪をやむのを待ったが、一向にやむ気配がなかったので、お店に戻りお茶をもらおうと思ったら、やってないという返事だったと思う。道の向かいに郵便局の事務所と何かが同居していて、その隣の建物は学校に見えたので、お店の人に向かいの建物を指差して、あの建物は学校(露語:シコーラ、школа)かと聞くと、そうだと答えられ、そこでお茶を入れてもらえば、という感じの返事だった。
学校の敷地内に入り、校舎の入り口で先生が来るのを待って挨拶をすると、校舎内で暖を取っても構わないといった感じだったので、入り口のスチームヒータのところで、少し休ませて貰った。
しかし雪は一向に収まる気配がないので、何度も俺の近くに来た少女に、コンピュータの為に電気を使いたいのだけどと伝えると、教員の部屋とも思える部屋に案内してくれて、そこで今は日記を書いている。休憩時間になると子供が5、6人集まって来たので、鶴の折り紙を案内してくれた少女に作ってあげた。雪は収まったので、そろそろ出ないといけない。ありがとう学校のみんな。
雪が止んだし学校の生徒が帰宅したので、俺も出ることにした。そして学校の入り口に置いてあった自転車を見ると何かが変だった。バッグは全て残っているが、前輪の上、ハンドルバーの間に置かれたバッグが何か変だ。中身を調べてみると直ぐには分からなかったが、翌々調べてみると折りたたみのアーミーナイフが無くなっている。そして、次男のクリスから借りてきたSONY のMP3プレーヤーが無くなっている。やられた。
学校の生徒も先生も頻繁に出入りしていたので安心していたが、自転車から目を離したのが失敗だった。学校から離れたところにあるバス停に数人が待っていて、その中の一人の少年が俺の方を見ている。どうして見ているのか気になった。でも俺が目を離したのが悪いので、無闇に生徒を疑う気にはなれなかった。先生も学校には鍵を掛けて帰ってしまったし、起きた事は仕方ない、と思い寒かったが走り出す。しかし、万能なナイフを失ったことに対して怒りを中々抑えられなかった。
途中でカフェがあったので遅い昼食を取る。すると若いウエイトレスは近くでシャワー(露語:ドーチェ、Душ)を浴びたら良いと教えてくれる。食事の後、シャワーの場所を探したが分からない。ウエイトレスに聞くと、丁寧にも隣のお店の建物の中に連れて行ってくれて、店番の人に説明してくれた。シャワーの値段は120ルーブルで高くなかったのでシャワーを浴びることにして、カフェに戻るとさっきのウエイトレスは、自転車はこのままレストランに置いておいて良いから、と言ってくれた。とても親切なウエイトレスだった。シャワーの後、濡れた頭で走りたくなかったので、カフェでもう一度、紅茶を頼んで休憩をした。
そしてカフェを後にして走り出すと、汗まみれになるまで時間は要らなかった。自転車から降りて止まると一気に冷えて寒い。
道は南西に向っていたはずだが、南に向っているように感じた。村と村の間隔は長く、昨晩と同じように野原にテントを張ろうと、一度はM55から離れて川の近くまで行ったが、どうも今ひとつテントを張る気になれなかった。仕方ないので走る。寒かったが風は強くなかったので結構走ったと思う。
すると村の外れである青年が運転する車に止められる。少し話をすると自分の家に泊まったら良いと言ってくれた。しかし、その青年は既に酔って運転していて、そんな青年の家に行ったら果たして寝ることが出来るのか分からないので、先に見える村に進むことにした。
(左上:自転車から降りると寒いのでバス停の屋根の下で休憩)
夕飯に何か食べたかったがカフェは見つからなかった。しかし、ある道角の塀の向こう側で機械の音と話し声が聞こえたので、テント(露語:パラッカ、палатка)をフェンスの内側に張りたい伝えると、中に入りなさいとフェンスの入り口の方角を教えてくれた。
行ってみると守衛の為の小屋があり、敷地内には木材加工用の丸太が沢山並んでいた。テントを張れれば良かったのだが、その男の人は守衛の小屋の中で寝たらいいと言ってくれた。まだ日が落ちる前だったので外に居ると、さっき村の外れで出会った酔っ払いの青年の車が入ってきた。そして今度は車の中に友達が乗っていて、その友達は警官との事で制服を着ていた。警官と酔っ払いの運転手が同じ車に乗っていた。やれやれ。
二人はしきりに車のインストパネルの警告は何と言う意味かと質問してきた。日本からの中古車だから、表記が日本語だった。そして、触媒の警告ランプだった。恐らく触媒劣化の為、酸素(o2)センサーからの警告だと思ったが、二人が納得できる説明は出来なかった。でも、気を良くしたのか、また自分の家に来なさいと言ってくれた。でも、ここから数キロ離れているとのことだったので断った。例え家の中に泊まれたとしても、酔っ払いの相手をする気にはなれない。
そうこうしていると、村に入る前に行き違った自転車に乗った老人がやってきた。もう一人の守衛だったようだ。で、その二人がその小屋に泊まるので、俺は泊まる場所を失ってしまったが、最初にフェンス越しに声を掛けた男の人は、付いてきなさいと言う。どこかテントを張れる場所に連れて行かれるのだろうと思った。しかし、そうではなく、木材加工の作業員の寄宿舎に案内してくれた。そしてその男の人は出て行き、作業員3人と自分だけになった。そして作業員達はその辺に置いてあったビールを飲み始めた。冷蔵庫が無いのであろう。俺は一口頂いてそれ以上は断った。
暫くして、その内の一人の作業員は村の中に家があるとの事で帰っていった。そして残った二人の作業員は夕食を食べに行くので一緒に行こうという。カフェが近くに無いのは分かっていたので、どうするのかと思って付いていくと、工場の一角が社員用の食堂になっていた。そして、昼食の残り物と思われるものが未だ沢山残っていた。お茶を入れて貰って、自分もスープやパンを頂いた。スープは冷たい物だったが美味しかった。見ず知らずの旅人をこうして歓迎してくれる人達がここにも居た。ありがたかった。
しかし、こんなちょっとした大きさの村でも水は水桶に入れられていた。水道が無いのだ。二人の作業員に倣って俺も使った皿は流しに置きっぱなしにしてきた。申し訳ないと思ったが、水を無闇に使えないのでそのままにした。外に出るとようやく暗くなってきた。寄宿舎はベッドが2段になっていた、6人くらいが泊まれるようになっていた。俺の自転車は土間の所に入れてくれ、ペチカにも火を灯してくれた。テレビも付けてくれたが、画面の映りは良くないし何を言っているのか分からないので、先に寝ることにした。
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